第4回 電場の視覚化
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2.総合問題 真空中の一様電場 E0 の中に半径 a、比誘電率 κ の誘電体球を置いたときの各部の電位、 電場、電束密度を求めなさい。 |
| a) 電位の視覚化 |
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球内部には一様な誘電分極 P が誘起されます。 また球外部の任意の点では、球の中心に双極子モーメント P=qd ができているとみなして計算をすすめることができます。 双極子モーメントを形成する2つの点電荷 +q, -q は、 実際にはその点を中心とする半径 a の球内に電荷密度 +ρ(-ρ)で 一様分布しており、2球の共通部分では電荷は互いに打ち消しあって 0 となり、両端の厚さ d の領域に電荷が現れるので、 実際の状況と同じであることがわかります。 ここで誘起される双極子モーメントは、
球内外の電位φin,φoutは、 電場と垂直な yz 平面中に原点に選べば
この解の厳密な導出はこちら
pdf
にありますので、 わからない人は必 さてMathematicaでこの解を視覚化してみましょう。 ためしにκ=15でaとE0 は1にして描いてみます。 カーテシアン座標に変換してやれば、通常の3次元プロットが可能です (ParametricPlotのライブラリを読み込めば円柱座標のままでもプロット できます。CylindricalPlot3Dというのを使いますが、時間のある人は やってみましょう)。
ここで /; は Condition の意味で、条件が満たされたときだけ適用される という定義になっています。
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| b)電場の視覚化 |
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電場は、前半でやったように、電位の gradient を計算することより求まります。
原点で定義できていない以外はうまくいっています。 原因は、Vの定義式のなかのcos1が原点で数値上ゼロ割り を起こしていることによります。 確かに数学的にはcos1の定義式ではx/r[x,y] となっていますから、分母も分子も原点ではゼロになり、 cos1の値は定数になります。 しかし計算機にとっては、このような表記では、単に0/0を計算 せよといわれたことになって、できないと文句を言うわけです。 これを直すには先ほどの 0 <= r[x,y] <= 1 のVの定義式で、 "r[x,y] cos1[x,y]"となっていたところを "x" にかえるだけでOKになります。 このようなゼロ割りの問題は Mathematica に限らず、数値計算を行う上 で必ず取り扱わなければならない問題ですので、このような問題が存在 するということを覚えておいてください。 定義式を上記のように書き換えて、もう一度
を実行すると、
となって原点でもOKとなります。 |
| c)電束密度の視覚化 |
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電束密度も同様に視覚化できます。球外での定義は電場と同じですが、 球内での定義を若干変更します。
電束密度の大きさは、以下のようになります。
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