つくば宇宙フォーラム

第108

原始銀河内での種ブラックホールの超臨界成長

豊内 大輔 氏

京都大学 天体核研究室


要旨

近年の観測により赤方偏移z~7の初期宇宙において太陽の数億倍の質量を持つ超巨大ブラックホールがすでに存在していることが明らかになっている。そのような初期宇宙における超巨大ブラックホール形成の有力な説のひとつとして銀河中心ブラックホールへの超臨界降着がある。ブラックホールへのガス降着および質量成長率に関してはボンディ半径から降着円盤へと向かうスケールに着目した輻射流体シミュレーションによって近年活発に調べられており,最近のシミュレーション結果によればブラックホール周辺のガスの数密度や温度の条件次第で超臨界降着が実現出来ることが示唆されている。しかしながら,このような先行研究では主に始原ガス,球対称降着を仮定しており,極めて理想的な状況しか相手にできていないと言える。そこで本研究では3次元輻射流体シミュレーションを用いて,原始銀河のガス金属量,ガス分布を想定してBHへのガス降着過程を調べた。結果として,銀河中心ブラックホールの周囲にできるガス円盤の密度がBH近傍からの電離光に対し光学的に厚くなるほど高いときには超臨界降着も可能になる場合があることがわかった。一方で,密度が高くても,金属量が低くガス円盤の温度が効率よく下がらない場合には,ガス円盤が幾何学的に厚くなるため光蒸発の影響を受けやすく降着効率が著しく下がることも明らかになった。本発表ではこれらの結果に基づいて,原始銀河における種BHの超臨界成長の可能性について議論する。

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