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銀 河 形 成 & 宇 宙 論
Galaxy Formation & Cosmology

TOPICS
ダークマター宇宙における銀河形成
宇宙の再電離過程
原始銀河雲の進化
巨大ブラックホール形成
将来観測計画での検証に向けて

ダークマター宇宙における銀河形成

銀河形成には,ダークマターと呼ばれる物質が深く関わっていると考えられてい る。ダークマターとは銀河や星の運動から,その存在が示唆されているものである が,その正体はまだ確定していない。ともあれ,このダークマターの重力の助けが なければ,非常に静かだった初期の宇宙から銀河を作るのは極めて難しいことが最 近の研究でわかってきた。図に,ダークマターが支配する宇宙での銀河形成につ いて大規模な数値シミュレーションをした例を示す。


銀河形成の3次元流体力学計算の例。白い塊が原始銀河

シミュレーション解説

宇宙にニュートリノと冷たいダークマターが共存しているとき,宇宙大規模構造 と銀河の形成がどのように起こるかを大規模数値シミュレーションによって調べた。 宇宙における構造発生には,様々な物理過程が関与してくる。ダークマターの重力場, バリオンの自己重力及び散逸過程そして輻射過程等である。これらをすべて取り入れ た計算には,自己重力系の流体力学計算が不可欠であるが,これは非常に多くの計算 時間を要するため,これまで1次元系を中心としてしか調べられてこなかった。しか し,1次元の計算では,銀河形成過程を現実的に追うことは難しく,3次元系を直接数 値シミュレーションすることが必要である。そこで,新たに開発した3次元自己重力 系の流体力学計算コード(流体粒子法)を用いて,宇宙の大規模密度ゆらぎの非線形 成長とその分裂による銀河形成過程を初めて3次元数値シミュレーションした。相互 作用として,ダークマターの弱い相互作用,重力相互作用,バリオンの電磁相互作用, 重力相互作用,ダークマターとバリオンの間の重力相互作用を入れている。
まず,ニュートリノとバリオンからなるゆらぎの時間発展を計算した。ニュートリノ ゆらぎは,宇宙膨張による膨張と共に,その典型的ゆらぎのサイズに対応したフィラ メント状の構造を作る。しかし,このフィラメントは分裂することはなく,従って, 銀河形成も起こらないことが示された。2種類のダークマターとバリオンからなる宇 宙の場合には,フィラメントはいくつかの塊に分かれ鎖状の構造へと発展する(上図 参照)。塊の大きさは,ちょうど銀河程度である。そして,ダークマターの無衝突緩 和により,塊は外側に加速され結果的にリング状の構造が出来上がる。このような分 裂による銀河形成過程は,この研究で行なわれた3次元流体計算で初めて明らかになっ たものである。そして,これは同時に宇宙が2種類のダークマターによって支配され ていることを強く支持するものである。

References

宇宙の再電離過程




宇宙初期の再電離過程の3次元輻射輸送シミュレーション。 縦軸,横軸はいずれも空間スケールを表し, comoving coordinate で 8Mpc の大きさの box であ る。電離の進む様子を,赤方偏移9から4まで示している。 うす緑から赤にかけての部分は電離度の低い部分で, 青い部分はほぼ完全に電離された領域である。 この図は3次元の輻射輸送方程式を解くこと によって得られた。

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References

原始銀河雲の熱的進化,最初の星は?

  • 原始ガス雲の分裂(一様近似による計算)
  • primordial gas cloud の非平衡の熱的力学的進化について一様近似を用いて計 算を行なった。われわれは spheroid の onezone collapse の進化を取り扱うこ とによってPalla et.al.(1984)(spherical collapse) の仕事を一般化した。そ の結果 やはり彼らの得た最小のJean's Mass は,初期にガス雲がどれだけ偏平 であっ たか,あるいはどれだけ角運動量を持っていたかに強く依存し,一般に は遥かに大きい値をとることが示された。 我々はさらに圧力の効果を一様モデ ルに採り入れ,spheroidの収縮の結果で きるディスク状の雲が棒状に分裂する と,そこからさらに分裂してできるcloud の質量はおよそチャンドラセカール質 量で決まるということを発見した。

    References

  • 原始ガス雲の分裂(衝撃波の影響)
  • 原始銀河雲の形成を調べる上で,上記のような単純な1-zoneモデルでは採り入れ ることのできないプロセスとして,衝撃波による加熱がある。衝撃波による加熱 は非常にその後の熱的,力学的進化に影響を及ぼすために,決して無視すること はできない。われわれは まず定常衝撃波に関して,Shapiro & Kang (1987) で 行われた計算を再解析し,shock diagram と呼ばれる 電離度-温度平面上の領域 によって,衝撃波後面の進化が記述されることを示し,さらにその議論が定常衝 撃波という状況設定から一般化できることを示した。 我々はさらに1次元の流体計算と,冷却,化学反応等を考慮した計算を 行なった。衝撃波の後方で水素分子の解離,水素原子のイオン化,などによ ってできるさまざまな構造が見えている。また衝撃波後面で動的な計算の結果, 冷却による不安定によって振動が励起されることが分った。

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    原始銀河雲の熱的進化,最初の星は?

  • 原始ガス雲の分裂(一様近似による計算)
  • primordial gas cloud の非平衡の熱的力学的進化について一様近似を用いて計 算を行なった。われわれは spheroid の onezone collapse の進化を取り扱うこ とによってPalla et.al.(1984)(spherical collapse) の仕事を一般化した。そ の結果 やはり彼らの得た最小のJean's Mass は,初期にガス雲がどれだけ偏平 であっ たか,あるいはどれだけ角運動量を持っていたかに強く依存し,一般に は遥かに大きい値をとることが示された。 我々はさらに圧力の効果を一様モデ ルに採り入れ,spheroidの収縮の結果で きるディスク状の雲が棒状に分裂する と,そこからさらに分裂してできるcloud の質量はおよそチャンドラセカール質 量で決まるということを発見した。

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  • 原始ガス雲の分裂(衝撃波の影響)
  • 原始銀河雲の形成を調べる上で,上記のような単純な1-zoneモデルでは採り入れ ることのできないプロセスとして,衝撃波による加熱がある。衝撃波による加熱 は非常にその後の熱的,力学的進化に影響を及ぼすために,決して無視すること はできない。われわれは まず定常衝撃波に関して,Shapiro & Kang (1987) で 行われた計算を再解析し,shock diagram と呼ばれる 電離度-温度平面上の領域 によって,衝撃波後面の進化が記述されることを示し,さらにその議論が定常衝 撃波という状況設定から一般化できることを示した。 我々はさらに1次元の流体計算と,冷却,化学反応等を考慮した計算を 行なった。衝撃波の後方で水素分子の解離,水素原子のイオン化,などによ ってできるさまざまな構造が見えている。また衝撃波後面で動的な計算の結果, 冷却による不安定によって振動が励起されることが分った。

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    原始銀河雲の熱的進化,最初の星は?

  • 原始ガス雲の分裂(一様近似による計算)
  • primordial gas cloud の非平衡の熱的力学的進化について一様近似を用いて計 算を行なった。われわれは spheroid の onezone collapse の進化を取り扱うこ とによってPalla et.al.(1984)(spherical collapse) の仕事を一般化した。そ の結果 やはり彼らの得た最小のJean's Mass は,初期にガス雲がどれだけ偏平 であっ たか,あるいはどれだけ角運動量を持っていたかに強く依存し,一般に は遥かに大きい値をとることが示された。 我々はさらに圧力の効果を一様モデ ルに採り入れ,spheroidの収縮の結果で きるディスク状の雲が棒状に分裂する と,そこからさらに分裂してできるcloud の質量はおよそチャンドラセカール質 量で決まるということを発見した。

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    将来観測計画での検証に向けて

    現在、「すばる」望遠鏡を初めとして、 大型かつ高感度の観測が行われている。今後、可視光だけでなく、 他の波長でも観測装置の大型化、高性能化が進むと見込まれている。 代表的なものが、日米欧でチリのアタカマ砂漠に建設中の アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)です。ALMAは 波長300ミクロン〜1センチのサブミリ波、ミリ波と呼ばれる 電波の波長域での観測を多数のアンテナを用いて行う。 ALMAの高感度、高分解能をといった特色を生かすことにより、 これまで可視では届かなかった遠方宇宙に存在する生まれたての 銀河を検出することも大きな目標である。そこで、我々は、 宇宙の構造形成シミュレーションを FIRST を用いて行い、 サブミリ波、ミリ波の放射源であるダストの進化も整合的に 解き、遠方宇宙に生まれて数千万年程度以下の若い 原始銀河がどれくらい存在し、ALMAでどれくらい検出されるのかを 予測した。ALMAは高感度なため、検出される銀河の数は 膨大である。したがって、FIRSTのような高性能の計算機を 使って初めて、ALMAで見る遠方宇宙の姿が予想された。 ALMAへの観測提案については、 宇宙観測グループと共同で行っている。
    下の各点は、赤方変移6に存在し、ALMAで観測されうる銀河を表す。 遠方宇宙での銀河の大規模構造(銀河分布の密なところと疎なところが あること)が見て取れる。